秋田県横手市選出 県議会議員|小原 正晃 ( おばら まさてる ) ウェブサイト

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おにぎり事件

2011年11月10日 14:20

先日、県当局から公の農林水産委員会の中で、おにぎり事件での謝罪がありました。
 
「おにぎり事件」とは、10月1日に新米のあきたこまち10,000個を東京で無料配布するPRイベントで、包装フィルムに<コシヒカリ100%使用>と誤表示をして配布した事件のことです。
 
当初、「おにぎり問題」と話されていたのですが、今日知事が全県庁職員に向けて異例の訓示を放送した時に「おにぎり事件」だと言っておりましたので事件という表現をさせて頂きます。
 
 
この事業は、私が当選する前、前年の予算編成の中で審議され、非常に揉まれて肝入りでやることになったイベントだったようです。
そして5月の臨時議会からも私たち農林水産委員会の中で審議され、一連のイベントで総事業費4,200万円の予算をつけて、首都圏に秋田米をPRしてイメージアップや販路拡大に繋げるといった趣旨を持ったものでした。
 
 
私たちは秋田米をどんどんとPRし、売り出してもらえることに大変、期待しておりました。
しかしながら残念なことに単純ミスが重なり、県民の期待は失望に変ってしまったのでした。
私は今回の見落としたミスをどうのこうのとは言うつもりはありません。
 
 
しかしただ今回のことは委託された側の責任はもちろんですが、委託した側や指示した側に大きな責任があるのではと思っていましたので、事件発生当時から「業者が悪い、自分たちは被害者だ」という考え一辺倒の説明が県当局からされ、???と感じていました。
 
普通であれば発注者(県)に一番の監督責任があり、ミスがあった場合には委託された業者ではなく、県のトップから県民の皆様に謝罪すると思ったからです。
 
 
そして最初の農林水産委員会の説明の中では、10月1日の前日、9月30日にマスコミ向けに配られていたという事実は(意図的でないにせよ)説明されませんでした。状況説明の中では、当日の10時に発見され、多数の配布を待つお客様もいらっしゃったので「あきたこまちの新米です」と声に出して言うしかなかったとのことでした。
前日に同じ間違いのあったおにぎりをマスコミに配ったという事実は、その夜のTV報道で知り、びっくりしました。
 
 
事実確認を問い合わせた所、確かに配ったが、色んな販促グッズと共に袋に入れており、その絵柄は見てなかったとの事。
 
しかし、おにぎりを配布する事業の趣旨は、秋田米が食べておいしい事を分かって貰い、PRや販促に繋げるという中で、試食などもしないで目を通しもしないといった仕事は、確かにお粗末な結果であると思います。
 
 
11月1日の民主党会派県政協議会でも、県にも責任があるのではないかという旨を話したところ、「委託者としての一定の責任はあるが、一義的な責任はあくまで業者側にある」という総務部長の答弁がありました。
その後の11月8日の委員会で、急に謝罪をし発注者である県の責任を認めたことから、「いつ県で方向転換し県の責任を認めたのか」と聞いたところ、「ビジネス上の戦略で早期に非を認められなかった。補償内容が未決定のうちに県の責任を言うと不利になると思って言わなかった。」という趣旨の答弁が返ってきました。
 
 
後で新聞などを読むと、佐竹知事が11月1日の自民党会派との県政協議会で非を認めたとのことを見ました。
ひねくれた見かたをすれば、知事が最大派閥の自民党との答弁で正式に非を認めたことから、するつもりのなかった謝罪を急にするという方向転換になったのではと勘繰ってしまいます。
 
 
私のところにも県民から、「仕事を業者に丸投げしてる感じを受けた」、「こういった一連のゴタゴタがなければ非を認めない行政特有の体質にあらためてがっかりした」という話も多数寄せられました。
 
 
 
しかし、今回の問題はミスが最たる問題ではなく、「ミス発見後の対応のまずさ」だと感じます。最初は業者を責め、問題が大きくなれば今度は職員を叱責し、いつも他に責任を押し付けることでは無く、非常時には上司が動き対応し、県民や職員の模範になる対応をして頂きたいと、強く思います。 
 
 
 2.jpg
(※10月1日配ったもの)
 
 
DSC_0487.JPG
(※修正後、今回配ったもの)

12月一般質問に向けて

2011年11月 6日 00:31

12月に初めて一般質問をする予定となっています。

 

ここでは、「なぜ政治の世界に足を踏み入れたか」という、自分なりの思いをぶつけてみたいと思っております。

 

雇用や子育て、教育や福祉、社会保障。観光や地域づくり、危機管理や財政問題など様々な思いがありますが、丁寧に言葉に落として、与えられた枠の中でのまとめをしていきたいと思います。

 

パソコンに向かい、原稿作業の日々が続きそうです。

 

チェルノブイリ・ハート

2011年11月 4日 03:19

横手市駅前ワイワイプラザで上映された、ドキュメンタリー映画「チェルノブイリ・ハート」を見に行ってきました。

午前中の部に行かせて頂いたのですが、小さな会場ぎっしりの凄い人で、当初の主催者予定(60名だったとのこと)を大きく超える、100名以上の人(私も含め、立ち見も多かった)が来られたとお聞きしました。

同僚県議では、沼谷純さん、加藤麻里さんもわざわざ横手までいらっしゃり、改めて多くの方の関心がある出来事だと思いました。

 

映画は、高濃度の放射線汚染のある地域に住んでいた人たちや、重度の疾患を持って生まれた「チェルノブイリ・ハート」と呼ばれる子供たちの実態を描いており、胸が締めつけられる思いのする作品で、大変勉強になりました。

 

 

この映画は、福島原発の放射能汚染に不安を持った横手市の< 佐藤 衣緒 さとう いお>さんが自主上映権を買って開催したということで、新聞等で大きく報道されました。

 

http://mytown.asahi.com/akita/news.php?k_id=05000001111010001

 

上映前に、小学校4年生の子供を持つ佐藤さんが(歳も子供も私と同じでとても親近感が湧きました)、原発事故以来放射線の子供への不安などを持ちながら暮らしてきたものの、周囲の人は無関心だったり考えていなかったりするように感じ、「もっと関心を持って考えて欲しい」と上映を思い立ったとのお話をされました。

 

その素晴らしい熱意と情熱、母の愛に脱帽です。

 

私も同じ子を持つ親として、凄く関心があり、今まさに動いているプロジェクトも放射性物質や、チェルノブイリに関連のあることでしたのでとてもタイムリーで、同年代の同志のように感じました。

これからも勉強会等、開催していかれるようですので、機会があればまた参加させて頂きたいと思います。

頑張りましょうっ!

 

TPP交渉反対決議案

2011年11月 4日 02:40

悩み抜いた末、秋田県議会TPP交渉反対決議案に賛成しました。

私たちの秋田県議会民主党会派では会派で一致しない決議となってしまいましたが、会派の拘束として縛ることなく、自由に意見を言える環境にして頂いたことに改めて感謝です。

 

私は今回の主張の中で、いわゆる農業畑の「族議員」としての反対ではなく、県という組織の一地方議員として、最終的に「秋田県は豊かになるだろうか。」この一点に絞って判断したつもりです。

 

今現在の秋田県を冷静に見て近い将来の秋田を推測しますと、この先TPPに参加しようとしまいと、このままの円高が続けば今ある企業の多くは海外にシフトしていってしまうと思いますし、農業者もますます厳しくなっていくことは、他地域の状況を見ても、容易に想像できます。

 

TPPに参加すれば、秋田の農産品がすべてが輸入品に変わるとも思いません。

多くは残るでしょう。

 

しかし、しかしです。

やはり、秋田県ではメリットよりもデメリットの方が多いと思います。

 

まず、農業分野では条件が整っていません。

日本産品の農産物の大きな<売り>の一つ、「安全」という土台が今、無くなってしまったのです。

 

輸出して稼ぐためには、放射性物質の影響や、風評被害が無く攻めれる環境が絶対に必要ですし、今のままでは国内の限られたキャパにただ輸入品が入るだけで、こちらから国外に出して増える要素やチャンスがほとんど無いと思います。

 

放射性物質の問題が無ければ、まだもう少し前向きにとらえられたと思うのですが、農業に関しては、今は攻めることは難しく、いかに地産国消をできるかを考えなければいけないと思っています。

 

これからの国全体を語るならばTPPに限らず、貿易の自由化・競争化は必ず避けて通れない道でしょう。

そして今のままの農業で良い訳はないと思っていますし、早く転換することが必要だとも思っています。

 

時折、「地方議員こそ国を論じれなければいけない」と言われますが、「この土地で次の世代も暮らしていけるように支えたい」と思って政治を志した者に、そこまでの視野はないかもしれません。

しかし、ブレない思いはあるつもりです。

悩む。TPP問題

2011年11月 1日 03:51

眠れません。

明日に控えた秋田県議会のTPPの交渉反対決議案。

非常に悩みます。

 

単純に自分の住んでいる地域を考えた場合はNOです。

しかし、日本全体の将来のビジョンを考えた場合、交渉事体はテーブルに乗せて議論する必要もやはりあると思います。

 

「今あるものを生かした新しい産業を起こす!」

「農業で新しい雇用を!」

と言って選挙に出て、当選させて頂いた私ですが、このTPP問題は非常に難しい問題で、簡単に結論が出せません。

 

まず今自分が思いを持っている地域の農業を考えますと、今より間違いなく厳しい状況になる確率が高くなると思います。

 

輸出などに活路を見い出す農業を考えた場合では、正直この放射性物質の問題や、昔から悩まされている米のカドニウムの問題などを考慮すると、

「日本は世界一安全な基準の農薬で作っています!値段は高いけど安全で安心な、最高の技術で作った、世界一美味しいJAPANブランドです!うめっすど!」

と海外の現場でいくら言っても、今のままの日本の検査基準では一瞬の風評被害で激減すると思いますし、今の輸出額から見ても期待できるマーケットはほんの少しだけだと思うからです。

 

海外に売る戦略をどうしても進めていくのならば、完璧な安全対策をした超ブランド化、他との差別化が不可欠です。

まずはそこにお金を大量投資して、小さくてもこだわりの農業で世界を驚かせるんだ!という圧倒的気構えと方向性がなければ、今のままでは絶対に難しいと感じます。

 

貿易をやっている方からもちょくちょくお話をお聞きしますが、先日は「放射性物質の影響は全然問題なく商売出来るよ。」という話と、「秋田は放射性物質の影響もなく、検査しているから大丈夫っていうけど、行政の言うことは信用にならないね。そして輸送の段階では福島を通るんでしょ?」という心無いことを言われた話と、両極端なお話を聞きました。

海外で今までなかった評価の後者の意見も考えますと、今世界に売っていくことを考えた場合は、プラス点よりもマイナス点の方が何倍も高く、特に口にするものは売れないと思います。 

 

しかしながら今の農業でいいとは思いません。

収入が少なく跡取りがいない、平均年齢65歳の超高齢化農業。米作と補助金漬けの農業。

今のままでいいとは誰も思っていないはずです。抜本的に変えていかなければ、この国の国土を守る農業が、今のままの状態でも<じり貧で衰退していく>のは目に見えています。

 

ではどうするかを考えた場合、私は、個人が信用している個人から買い、「食べ物」の安心、安全や美味しさ、作っている人の考え方についての対価を払うという物流の流れを作っていく農業にシフトしていくべきだと思っています。

物流に補助し、地域格差を無くすことで、遠隔地でも大消費地に攻めれる土台をつくれば逆に生活コストの低い田舎でも勝負できる農業をすることが出来ると思います。

 

そして規制なしに農家に好きなだけ作らせること、逆に米作以外に高い支援をしていくこと、加工品に比重を置いていくことが重要ではないかと思います。

市場や団体での利点はありますが、それよりも「自分で値段のつけれる農業」、そして「買う側も選択できる農業」の割合を高めること、「生産していて意欲のある、声の届く顔の見える農業」をしていくことで、生産者がやりがいを感じる農業にし、自立していくことが一番重要だと思います。

そのためにはある程度、他からの安い物を入れない政策をした方がよいとも思います。

 

消費としてはもう一つ、前回議会でもお話させて頂いた、4兆円産業とも言われる学校給食や公共施設、福祉施設などへの地産地消(国内)ももっと進めていくべきです。

 

 

 秋田県の県内総生産4兆円のうち、農業生産額は1300億円しかなく、数字を見ると非常に弱い産業ですが、すべての基本は一次産業であり、そこから発生している購買力や国土や文化風習、コミュニティ、そしてアイディンティティーを守るといった観点から見るとお金では表せない価値になっていると思います。

 

 

以上は地域農業からの観点です。 

 

 

しかしTPPは農業だけでは考えられません。

農業者に係わりのない消費者にしてみれば、賃金のカットや税金のUPはあってもなかなか上がらない給料を考えると、安い外国産が入ることで生活が大変助かるでしょう。

外食産業なども利益が出しやすくありがたいことでしょうし、不動産、医療の点から見てもデメリットはあるにせよ、また大きなメリットもあるでしょう。

日本が誇る製造業もこの円高で先の見えないデフレの中、参加は希望の光だと思います。

 

輸出大国日本が、世界の競争の中で生きていくには必要なことだという認識も大変わかります。

 いつも保障のある一部の農家が救われて、商売人は常にリスクを背負っているではないか。公平ではないだろう。分かります。

農家も一般の事業主と同じではないか。若者を雇用しているのは、農業ではなく、製造業、サービス業だ。政治家は選挙に強い農業に甘すぎるのではないか。このようなご意見も大変わかります。

 

 

分かりながらコロンブスの卵的に難しいのです。 

 

 

第一に国を考えるのか、地域を考えるのか。

国があっての地域か、地域あっての国か。

 共存する中間地点は無いのか。

日本の900兆円の借金はいつ何の産業で返すのか。農業で返せるのか。

そのために議論するテーブルに着くべきではないのか。

いったんテーブルに着いたら引き返せないのではないのか。

 

 

昨日ちょうど世界人口が70億人になった中、この飽和の時代はいつまで続くのでしょうか。

自給自足できないでこの国の1億2千万人の日本人はいずれ言いなりで高い食糧を買うことになるのでしょうか、それとも参加し稼いだ外貨で、いまの生活レベル以上に生活できるのでしょうか。

 

じり貧なのか、希望があるのか。

アメリカとの関係は?中国かインドかブラジルかロシアかインドネシアかアフリカかか。

今後どの国に重点を置き付き合っていくのか。

 

一番懸念することは、TPPに入ったものの、製造業なども長い円高などにより空洞化が止まらず、農業も衰退し、国に何も残らない状況だと思っています。

 

「国敗れて山河、田畑なし。」

日本においても、秋田においてもこれだけは避けなければなりません。

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